白檀の香 - ようこ 2025/07/31 20:30 블로그

コンビニで会った喪服の女は
タバコを一つだけ買い
すぐに出て行ったが
強烈にインパクトに残った。

なぜなら
肌が隠れているにも関わらず
裸体を想像してしまうほど
官能的な雰囲気を纏い
アップにしたうなじからは色気がもれ
凛とした出立には華があった。
勿論、喪服という通常目にしない
服装ということもあっただろう。

しかし、私が買い物が終わり
コンビニを出ると
先程見た凛とした女の影は無く
なぜ、
わざわざ、
喪服姿で、
人から目を引く場所で、
わざわざアップにした髪の毛をおろし、
隠しているつもりだろうか？
全て見えているのに・・・
涙をボロボロこぼし
化粧も崩れ
タバコを持っている手も震えている。

「どうしてだろう？」

そう違和感しか感じなかった。


私が運転席につき
車を出そうとした時、
フワッと香がした。

サンダルウッドではなく
白檀の香とわかったのは
その女が喪服を着ていたからだ。

そして私が目を離した一瞬で
その喪服の女は
コンビニにいた時と同じ・・・
いや。
それ以上に色気が漂っていた。

そして同じ女だからわかった。

「あぁ、
　この女は
　自分から出ている妖艶な香りに気づき
　それをかき消すため
　タバコの香りがわざとつくよう髪をおろし
　泣いていたのは気が抜け出たもので
　隠していたのではない。
　自分自身の女を隠したかったのだ。」

　
白檀の残り香を感じながら
その女を思うと
ふと、涙がこぼれた。

そして
自分に無い物を持っている
その女に・・・
少し嫉妬した。

どこまでもいやしい女だと
自分自身を理解しながら
帰路についた。